当院外来での眼瞼下垂症の患者さんは、高齢化社会到来により、先天性よりも後天性眼瞼下垂症の主訴で来院される方が多い傾向にある。
勿論、先天性眼瞼下垂症の方も来院するのだが、本人以外は家族や周囲の人が気付かない両側性の軽症例が多い(片側性であれば、左右差が出てくるので気が付きやすい)。あるいは,本人自身も今まで眼瞼下垂とは全く思っておらず、美容の二重手術希望で来院して,小生が初めて先天性眼瞼下垂症を指摘できることもある。このようにごく軽症の場合は、子供の頃にはあまり目立たないために、手術はせずに経過観察されていたり、あるいは見過ごされて大人になっている事が多いようだ。
後天性眼瞼下垂症の中でも特に加齢に伴う症例が多く、白内障に眼瞼下垂症を合併しているために、眼科医からまず眼瞼下垂症の手術をしてもらうように指示されて来院される高齢者もいる。あるいは、既に白内障手術をして視力機能が回復しているにもかかわらず、眼瞼下垂があるために視界が狭くて生活に支障をきたして来院する高齢者もいる。
一方では、視力が悪いためにコンタクトレンズを長期装用して腱膜原性眼瞼下垂症になっている若年から中年の患者も多い。眼瞼下垂症の手術をして視野を確保できるようにしてあげても、視力が不良のために再度コンタクトレンズを装用して、数年後に症状が再発して来院する患者もいる。あるいは、他院で眼瞼下垂術後に再びコンタクトレンズを装用して再発し、当院へ来院することもある。当院の方針としては、眼瞼下垂症手術後は、原則としてコンタクトレンズの装用禁止と眼鏡の使用を推奨し、適応があれば視力改善のためのレーシック手術を薦める場合もある。
2009.05.18 |