関東地方では、毎年1月下旬頃から5月前後にかけて、花粉症(主にスギ、時にヒノキやハンノキ)による鼻炎症状(くしゃみ、鼻水、鼻づまり)、結膜炎症状(掻痒、流涙、充血)、喉の痒みや皮膚炎症状などで悩まされる方が多い。
眼瞼下垂症でお悩みの患者さんがこの季節に来院されて手術を希望した場合、花粉症があるかどうかを必ず問診することにしている。花粉症がなければこの季節に通常通り手術をすることはできるが、花粉症をお持ちの方は、この時期に手術することはお勧めできない。なぜなら、花粉症の投薬や点眼薬で治療していても完全に症状を抑えることは出来ないのが現状であり、折角手術をしても、アレルギー性結膜炎のために掻痒が強くて手術部位をこすったりして、手術で瞼板と眼瞼挙筋腱膜に留めた糸がはずれてしまったり、炎症が長引いて創傷治癒を阻害してしまう可能性が高いからである。この掻痒は厄介なもので、日中我慢できても、就寝してしまうと無意識に患部を掻いてしまうことも多いので、十分な注意が必要である。
また、眼瞼は常に開閉している部位であり、通常の手術後でも術後腫脹が目立つのだが、花粉症があると、さらに腫脹や流涙が増加して充血もなお悪化してしまう可能性が高いので、結膜炎症状などの無いベストコンディションで手術を受けていただきたい。
因みに他の季節に生じる花粉症もあるので、その時期をはずして眼瞼下垂症の手術を受けられることをお勧めしたい。
2008.02.19
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